クロス・クロールからフロー(流れ)へ (4)
ムーブメント・ダイナミックスと共に過ごした私の体験
シグリッド・ロース(インターナショナルファカルティ・イタリア)
フランスで⻑く活動しているポール・ランドン(Paul Landon)は、2006年に教育キネ
シオロオジーについて書いた記事[1]の中でムーブメント・ダイナミクスに関して次
のように述べています。
ムーブメント・ダイナミクスは様々な動きを集めており、それらは自分を活性化し、踊
り、動きの感覚を探究し、自分の体の中にいる喜びを再発見することを促す。
私は、彼の表現はとても的確であると感じました。
年月を重ねる中で、ムーブメント・ダイナミクスは単に私に新しい専門的なツールを与
えてくれたのではないと気づきました。もっとシンプルで、もっと根本的なものを取り
戻させてくれたのです。それは、動くことの喜びと、動いている間に自分の体に耳を傾
ける力でした。
翌年、Edu-K の源流について書いた別の記事[2]で、ポール・ランドンはゲイル・デ
ニソンのワークに対する ルドルフ・ラバン(Rudolf Laban)の影響について述べてい
ます。
ラバンは、三次元空間における動きを探究し、キネスフィア(kinesphere) という概念
を提唱しました。キネスフィアとは、一人ひとりを取り囲み、体とともに移動する個人
の空間です。ゲイルは、こうした考えの多くを引用し、3つの次元のワークやムーブメ
ント・ダイナミクスで使われるバリエーションに取り入れていきました。
前後、上下、横方向、斜め方向と動きを探求する時、あるいは自分を取り巻く空間で動
きを探求する時、私たちは単に腕と脚を動かしているわけではありません。自分がどの
ように空間の中に存在しているのかを探究しているのです。
そして、一人一人のやり方は異なります。
とても正確に動く傾向を持つが、使う空間が小さい人。ある方向へは楽に動くが、他の
方向は避ける人。大きく広がる動きを心地よく感じる人もいれば、自分の中心に近い範囲で動くことを好む人もいます。大切なのはこうした違いを判断したり評価したりする
ことではなく、ただ、違いに気づくことです。
明確な構造がありながら、その構造の中に個人的な発見のための余白がある。
このことは、ムーブメント・ダイナミクスにおいて、私が現在最も価値を感じている点
といえるでしょう。
正確さと自由さは、必ずしも相反するものではありません。
構造は、より大きな流動性、選択肢、適応力へと発展するための出発点になり得ます。
音楽も、このプロセスの中で大切な役割を果たします。MD2のフロー(flows) では、
ブレインジム、ヴィジョンジム、統合された動きが一つの流れとして結びついています。
リズムは、流れを幾度も止めることなく、一つの動きから次の動きへと体を動かすこと
を助けます。
そしてある瞬間、「エクササイズをしている」と感じなくなります。
ただ、動いている。
もしかすると、何か新しいことを発見し始めた、その瞬間なのかもしれません。
年月を重ねるにつれ、私にとってムーブメント・ダイナミクスは、Edu-K のカリキュラ
ムにある講座の一つという以上の存在になりました。動きは「探究であり、学びであり、
喜びでもある」と私に全てを同時に思い起こさせてくれるものになったのです。
そして 20年以上たった今でも、私は、すでに知っていると思っていた動きの中に、新
しい可能性を発見し続けています。
[1]Landon, Paul. “Mon métier : lʼÉducation kinesthésique.” Le Journal du Brain Gym,
Association Brain Gym France, No. 12, Hiver 2006
[2]Landon, Paul. “Les sources de lʼÉducation Kinesthésique.” Le Journal du Brain Gym,
Association Brain Gym France, Nos. 13‒14, Printemps‒été 2007


