クロス・クロールからフロー(流れ)へ (5)
ムーブメント・ダイナミックスと共に過ごした私の体験
シグリッド・ロース(インターナショナルファカルティ・イタリア)
「ムーブメント・ダイナミックスでの経験はどのように自分の仕事の中で活用できるの
か?」というもう一つの問いが自然に浮かんできます。
例えば、教師が既にブレインジムエクササイズを授業に取り入れているとします。しば
らくすると、クロス・クロールは役に立つ、なじみのある動きではあっても、子ども達
にとっては同じことの繰り返しで、少し退屈だとさえ思い始めているようだと気づくか
もしれません。
そんな時、ムーブメント・ダイナミクスは既に知っている動きに新しい生命を吹き込ん
でくれます。
講座は、クロス・クロールのバリエーションが 36種あります。その多くは、動物や物、
想像力を刺激する動きのパターンとして、遊び心のある形で表現されています。すると、
クロス・クロールは「ただのクロス・クロール」ではなくなります。ゲームに、物語に、
チャレンジに、そして探究になりえます。基本となる動きのパターンは同じでも、そこ
に好奇心と楽しさが戻ってきます。
同じ考え方は、年齢やニーズが大きく異なる人たちにも応用できます。
例えば、安定性、協調性、身体への気づきを育てたい高齢者と行う場合、これらのバリ
エーションは全く違うペースで探究することができるでしょう。動きをゆっくり、小さ
く、より意識的に行い、バランス、重心の移動、空間での方向感覚、足の裏から感じる
支えなどに、より多くの時間をかけて気づいていくことができます。
幼い子どもたちと行う遊び心いっぱいの活動とはまったく違って見えるかもしれませ
んが、その根底にある探究は同じです。
ムーブメント・ダイナミクスは、個人セッションにも豊かさを加えることができます。
学びのメニューの中にクロス・クロールが出てきた時、慣れ親しんだ一つのやり方に限
る必要はありません。方向、リズム、動きの大きさ、高さ、あるいは動きの質を変えな
がら遊んで、その人にとって何が変わるのかを観察することができます。
この意味で、これらのバリエーションは「もっと多くのエクササイズ」ではありません。
私たちにより多くの選択肢を与えてくれるのです。
そして、おそらくこれこそがムーブメント・ダイナミクスがもたらす最も実践的な恩恵
の一つでしょう。相手に動きに合わせてもらうことを期待するのではなく、慣れ親しん
だ動きを目の前にいる相手に合わせて調整することを可能にしてくれるからです。
言葉だけでムーブメント・ダイナミクスを完全に説明することは難しいのですが、それ
は実際に体験することによって意味が明らかになるからです。
10月31日から11月3日まで、横浜で、私たちは一緒にムーブメント・ダイナミクス
を探究する機会を持ちます。好奇心を持って。丁寧に注意を向けながら。そして、一人
ひとりの体がそれぞれ独自の方法で動き、学ぶことを尊重しながら・・・。
すでに知っていると思っていた動きから、どれほど多くのバリエーション、流動性、そ
して可能性が生まれてくるのか。それを一緒に発見するための時間になればと思ってい
ます。


