クロス・クロールからフロー(流れ)へ (2)
ムーブメント・ダイナミックスと共に過ごした私の体験

シグリッド・ロース(インターナショナルファカルティ・イタリア)

コロナ禍では、多くの人と同じように、私たちもほとんど一夜にして、仕事をオンライ
ンの世界へ移すことを強いられました。そこでもムーブメント・ダイナミクスは、私を
驚かせました。

最初は、これほど身体を使う講座をコンピューターの画面越しで行うことを想像するこ
とすら困難でした。ところが、実際にはうまくいったのです。参加者はそれぞれ自分の
部屋で、多くの場合とても限られたスペースの中で動きました。それでも、身体感覚、
動きの方向、リズム、バランス、そして使える空間との関係を十分に探究していたので
す。もしかすると、その「限られている空間」そのものが、この講座の特徴をより明確
に示してくれたのかもしれません。つまり、動きを探究するためには、完璧な空間を求
める必要はなく、注意を向けることが必要だということです。

今もパソコンの前に⻑く座りすぎた時には、私は自分に「体を動かすための休憩」を与
えます。活動的な音楽をかけて、3つの次元でのクロス・クロールのバリエーションを
行なっていると、クロス・クロールを「踊っている」自分に気づくことがあります。私
にとって、それは個人的な小さな儀式のようになっています。単に体を動かすというこ
とではなく、自分の身体に戻るための方法として行う習慣となりました。

バランス調整に関して、特に私の心に残っているのは、エルゴノミクス(人間工学)を
テーマにしたものです。このバランス調整に関わるプレ・アクティビティとポスト・ア
クティビティでの体験は、今でも日常的に思い起こします。パソコン作業中に身体に負
担のかかる姿勢をしていることに気づいた時、あるいは野菜を切りながら不自然に前か
がみになっていることに気づいた時などです。

身体というものは、とても正直です。代償が過度になっているとき、身体は緊張や不快
感、ときには痛みという小さなサインを送ってくれます。

Edu-Kのプログラムの中でも、私がこれほどはっきりと「身体そのものが教師になり得
る」ということを体験した講座は他になかったかもしれません。ムーブメント・ダイナ
ミクスは、私の姿勢に対する意識を確実に高めてくれました。同時に、自由に動きを探
究することへの好奇心も育ててくれました。